キャッツ映画の感想。あらすじや劇団四季、ロンドン版との違いは?
こんにちはりっこです。
映画版のキャッツを観に行ってきました!
ネット上での前評判があんまり酷かったんで、ミュージカルのキャッツが大好きな私としては、少し怖かったのですが…。
ここは観に行かなくては…!と思い、意を決して行ってきました。
土曜日のお昼。とりあえず、日本語吹替を見てきました…!!
まだ公開されてからそれほど時間が経っていないのにも関わらず、劇場は半分以下くらいしか入っていませんでした…。
日本語吹き替えはその日、お昼の1本しかなかったのに…。
恐るべし、不人気さ。
で、実写映画キャッツ、どうだったのかというと…
前評判で評価が悪いことを知っていたからか・・・。そんなに悪くはなかったです!
感想を一言でまとめると、
「舞台版キャッツを完全再現するならば、きっとこの形になるのであろうが…、完全再現しようとしてしまったばっかりに、舞台ミュージカルキャッツを1ミリも超えられない作品になってしまった…」
という感じでしょうか。
でも、観て後悔はしませんでした。
ツッコミどころは満載でしたが、それも含めて楽しめました。
※ネタバレありです。※個人の感想です
キャッツ 映画のあらすじ
実写映画のキャッツのあらすじは、基本的には舞台と同じです。
さて、選ばれる猫とは…?
このキャッツのストーリーは崩れることなく映画化されています。
ただ違うところといえば、観客がストーリーに入りやすくするためか、ヴィクトリアという白猫が案内役としてピックアップされています。
まず、このジェリクル舞踏会の日にヴィクトリアが人間から捨てらて、キャッツの世界に入っていきます。
また、ミストフェリーズがヴィクトリアを案内するような形で主役級に持ちあげられています。
また、ストーリー性を強くするためか、マキャビティ(犯罪猫)と他の猫たちの対立を、舞台版より色濃く描いています。
他は基本的には舞台版のキャッツと同じです。
映画キャッツの良かったところ
映画キャッツに関しては、突っ込みどころや、「まじかよ…」ってシーンも多かったのですが、まずは良かった所を挙げてみましょう。
ヴィクトリアはすごくよかった!
とにかく良かったのは、今回、ほぼ主役のような立ち位置になっているヴィクトリア。
演じるのは、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパル、フランチェスカ・ヘイワードさん
猫のメイク、猫の衣装でもすごくかわいい。
そして、さすが、プリンシパル。ダンスがとても素敵です。
日本語吹き替えは、ミュージカル女優の葵わかなさん。
声もすごく合っていたし、歌も流石にすごく良かった。
正直このヴィクトリアがこの方じゃなかったら、見ていられない作品になっていた可能性すらある。
スキンブルシャンクスのナンバーの演出
鉄道猫スキンブルシャンクスのシーンがとにかく良かった。
舞台版にはないタップダンスの演出。
映画ならではの列車や線路の演出。
舞台と比べて…良い、悪いを考える隙がない。
舞台のスキンブルシャンクスもとても良い。
映画のスキンブルシャンクスもとても良い。
そう思えるシーンになっていました。
ただ気になったのは…スキンブルシャンクスの見た目。
鉄道猫というよりは、どこかの配管工猫でした。
(なぜか、赤いハイウエストのズボンに赤い帽子をかぶっていた…。)
舞台ではきっとできない、映画の良さがでた唯一のシーンでした。
バストファジョーンズの吹替も◎
私が、ロバートの秋山さんが好きなだけ…かもしれないですが、バストファジョーンズの吹替がとても良かったと思います。
歌、秋山さんお上手だった。
バストファジョーンズに限らず、吹替は割とみんなよかった!
歌とダンスは全体的に良い
キャッツのオープニングの音楽が流れただけで、自動的にワクワクします。
舞台版とは異なったアレンジはされているものの、曲自体は崩しすぎず、アンドリューロイドウェバーの素晴らしい音楽は健在。
ダンスもとても良かったです。
ストーリーがわかりやすくなっている
賛否両論あるところではありますが、舞台版よりもストーリーがわかりやすくなっていると思います。
(それでも、舞台のキャッツを見たことのない人にはとっつきにくいストーリーではある…。
原作は「詩集」なので、コレがキャッツ、と言わざるを得ない…。)
映画にする中で原作を崩しすぎず、ストーリーを最大限わかりやすくしていたと感じました。
映画キャッツの残念だったところ
次に、映画キャッツの良くなかった所・・・。
というか、突っ込みどころ?を紹介したいと思います。
ヴィジュアルが猫というよりか妖怪
まずは、やっぱり以前から評判が悪かった、猫たちのヴィジュアル面。
ずっと見ていると慣れてはきましたが…。
やっぱり猫というより、妖怪です。
しかも、最初に人間が少しだけ登場してしまったがために、人間がいるこの世界にこのフォルムの猫たちが踊っているのか…と思うと、奇妙な気分にさせられます。
もし、人間たちに見つかったら、通報ものです。
猫それぞれのデザインに個性が少ない
ヴィクトリア、ミストフェリーズ、ジェニエニドッツ、バストファジョーンズ、マキャビティ、ラムタムタガー、マンカストラップ…
など、ソロ曲があったり、主要なキャラクターたちはそこそこ見分けが付くようなデザインになっていますが、それ以外の猫たちのデザインが雑。
舞台版のキャッツを観ていると、ソロナンバーがない猫たちも、「あ、あの子がボンバルリーナだ!」とか「シラバブだ!」
とかとわかるのですが…。
映画版のキャッツは全然デザインに個性がなくて、その他大勢と化しているのが残念でした。
ラムタムタガーのキャラが…
天邪鬼で雌猫にモテモテという設定のはずのラムタムタガー。
ですが、実写映画のラムタムタガーはたぶん全くモテないと思います。
クラスにいる勘違いした痛い男子って感じ。
吹替のofficial髭男dismの人の声も合っていたと思うのですが、あの声質がさらにイラっとさせた。
official髭男dismの人が下手だとか、悪いわけではなく、映画のキャッツのラムタムタガーのキャラがとにかく残念…。
やはり、舞台ロンドン版のラムタムタガーが世界一カッコイイラムタムタガーだなあと再認識しました。
好みによると思うので…。実写映画のラムタムタガーが好きな人には本当にごめんなさい。
ミストフェリーズのキャラが…
「おとなしくて小さな、可愛い黒猫さ」
と劇団四季版では歌われているミストフェリーズ。
今回はストーリーをよりドラマティックにするための被害者と言わざるを得ない気がします。
「おとなしくて小さな可愛い黒猫」なのですが、最初の方のシーンでは、
「マジシャン猫のミストフェリーズさ!」
と頼まれてもないのに何度も曲の合間でなぜか自己紹介をしてきます。
シャイなキャラクターであるはずの彼ですが、積極的にヴィクトリアに絡んでいきます。
今回の映画では自分が主役級なのだと見せつけるかのようです。
ところが、後半、自分自身のミストフェリーズのナンバーになると途端に自信を失います。
みんなにマキャビティにさらわれたオールドデュトロノミーをマジックで出すようにお願いされ、戸惑いながらもがんばるミストフェリーズ。
ここで急に「シャイ」という設定を思い出したかのように自信なさげに歌いだします。
「天才、マジック猫」「クレバーキャット」「おどろいたもんだ、素晴らしいやつさ、マジカルミスタミストフェリーズ」
の面影はもはやありません。
こんな自信なさげなミストフェリーズは正直見たくなかった…。
ただ、ストーリーのドラマ性として
「失敗も多く、自信もなかったミストフェリーズが諦めずにオールドデュトロノミーを呼び戻す魔法が使えるようになる」という成長の要素を入れたかったのだと思います。
その代償として、明るく楽しいナンバーであるはずのミストフェリーズの歌はテンポが悪く、グダグダな印象に…。
マキャビティとその取り巻き…
マキャビティの小物感がすごい…。
舞台のマキャビティは、絶対的な犯罪王。
誰ともツルまず、一匹狼的なイメージがありました。
映画のマキャビティは違います。
まず、マキャビティに手下がいます。
まさかのグロールタイガー(海賊猫)です。
グロールタイガーは人の下に着くような漢ではないと思うのですが…( ;∀;)
そして、マキャビティのナンバーを歌うボンバルリーナ。
彼女がマキャビティの手下になっています。
あと、マンゴジェリーとランペルティーザも手下となって、みんなに麻薬のようなマタタビを巻き散らかしていました。
舞台版で、ボンバルリーナとともにマキャビティの歌を歌うディミータはカットされています。
ボンバルリーナの見た目も全く違う…。悲しい。
とにかく、マキャビティが手下をたくさんつかってどうにか、「天上へ上る猫」に選ばれようと必死過ぎるのが、なんかすごく嫌でした。
みんな、天上に昇る猫になりたすぎ。
「天上に昇る猫」になりたすぎるのは、マキャビティだけではありません。
ジェニエニドッツも、バストファジョーンズさんも選ばれたがっています。
私はそこがすごく違和感でした。
キャッツの解釈は色々あると思いますが…。
個人的には、「選ばれようが選ばれなかろうが、自分の人生を誇り高く生きている猫」がジェリクルキャッツだと思うんですよ。
自己紹介のナンバーがある猫も、作中では自分の歌がない猫もそれは一緒。
たまたま、見せ方として、何匹かの猫たちの人生が歌と踊りで表現されているだけ、と私は捉えているんですね。
なので、「みんな選ばれたくて必死」というよりも、「それぞれの人生を誇り高く生きている猫が、ジェリクル舞踏会を楽しんでいる」というのがキャッツだと思っているんです。
ところが、映画キャッツはみんな明確に「選ばれたくて」ダンスや歌を披露しているって感じ。
…まるでオーディションのようで私はなんか嫌でした。
でも、一緒に映画を観に行った夫は特に気にならなかったようで…。
「え?だってみんな選ばれたいのは舞台版も一緒でしょ?
むしろ、映画版の方が、みんなの「選ばれたい」という目的がわかりやすくてよかった!」
と言っていたので、見方や解釈の仕方によっては違和感を感じないのかもしれませんね。
歌やダンスの後の間が気持ち悪い…
ひとつひとつの曲が終わった後に妙な間が開くのです…。
そして、1曲の歌とダンスを終えた猫たちは非常に息を切らしている。
それが生々しくて、人間らしくて、猫らしくなくて嫌でした。
舞台版は曲にもよりますが、ほぼ間が開かず、次の歌、次のダンスへと進んでいきます。
あんなに歌って、激しいダンスを踊って、良く息を乱さず続けられるな…と感心しきり。
でも、実写映画のキャッツは曲と曲の間に変な間があり、そこで息を切らしている役者たちはあまり見たくないかな…という印象でした。
劇団四季やロンドン版DVDとの違い
あらすじや、良い所、残念な所でも、舞台版との違いについて触れていましたが、それ以外で、劇団四季のミュージカルキャッツや、ロンドンDVDとの違いを書いていきます。
オールドデュトロノミーの性別
ロンドンオリジナルキャストのDVDも、劇団四季もオールドデュトロノミーの性別はオスです。
しかし、映画版では長老の雌猫になっています。
猫界でも雌の方が長生きなのかな…?
演じるのはオスカー女優のジュディ・デンチ。
吹替は大竹しのぶさんです。
大竹しのぶさんが吹替と知った時は、「え?なんでオールドデュトロノミーが大竹しのぶさん!?」
って思ったけど…。
見て見ると雌のオールドデュトロノミーも良かったし、大竹しのぶも流石に良かったです。
ランパスキャットのナンバーはカット
「喧嘩猫ランパスキャット」のナンバーは映画では全部カットされています。
ロンドンDVDにはあり、現在上演中の劇団四季キャッツにもあります。
前回の大阪公演までは劇団四季でもカットされていました。
映画の方が舞台よりも時間が短いので、カットするならココかな…というナンバーの一つ。不遇ですね。
グロールタイガーのナンバーはカット
グロールタイガーの歌もカットされていました。
ロンドン版DVDでもグロールタイガーのナンバーはありませんでした。
劇団四季では後半最初の盛り上がりで、私もすごく好きなナンバーなので残念でした。
ただ、ストーリーの構成上、入れにくいというのはわかる。
上演時間的にもストーリー的にもカットは仕方がないかな…と思えます。
しかしながら、グロールタイガーがマキャビティの手下になっているのはいただけない…。
そんな使い方ならいっそ、キャラクターごとカットの方が良かった。
ガスのナンバーはあるがジェリーロラムはなし
役者猫アスパラガスのナンバーはあります。
…が、彼を優しくサポートするジェリーロラムはカットです。
ガスが一人で歌います。
ラムタムタガーの出番が少ない
舞台版では、ミストフェリーズの紹介をしたり、ダンスでも結構目立つタガーですが、映画ではほぼ自分のナンバーの時しか目立った出番はありませんでした。
…まあ正直、個人的には映画のタガーは全然かっこよくなかったので、あのタガーならカットされて良かったと思ってしまいました。
キャッツの映画は怖い?気持ち悪い?感想のまとめ
前評判がヤバすぎた実写映画のキャッツ。
怖い、気持ち悪い、だの言われていましたが、個人的には怖くも気持ち悪くもありませんでした。
(確かにヴィジュアルは妖怪だけど)
舞台版と比べてしまうと残念な点や突っ込みどころが多々ありましたが…。
コレはコレで面白い作品だったと言えると思います。
たくさんの突っ込みどころも含めて。
舞台のキャッツの世界観を極力作らず、よくここまで映画化できたものだ…とそれは素直に関心。
ただ、舞台じゃなくて映画でやるからこその、魅力がスキンブルシャンクスのシーンくらいにしか出ていなかったのではないだろうか?
というのが一番残念なところかな。
私は今回吹替でみて、もう一度今度は字幕でも見てもいいかな~と思うくらいには楽しめました。
(なんだかんだ文句も多いですが…。)
前評判で言われていたように、
「常に発情している猫を見せられている」とか「苦痛に満ちた2時間」
とかでは全然なかったです!
一見の価値あり!だと思います。
コメントフォーム